2025.07.23
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なぜタイだったのか?──移住して20年、今だから語れる本当の理由

なぜタイだったのか?──移住して20年、今だから語れる本当の理由

はじめに

「どうしてタイに住んでいるんですか?」
これは、私が最もよく聞かれる質問のひとつです。気がつけば、タイに暮らして20年。今や「在住歴20年」と言うと、「なにか特別な理由があるのでは?」と興味を持たれることもしばしばです。

しかし正直に言うと、最初のきっかけは決して明確なビジョンがあったわけではありません。「なんとなく」「タイ語に興味があったから」。それが本当の出発点でした。

それでもこの20年の暮らしを経て、「なぜ私はタイを選んで、そしてなぜここまで長く住み続けているのか」という問いには、今ならはっきりと答えることができます。

今回は、私の移住の原点から現在に至るまでを振り返りながら、「なぜタイだったのか?」を本音で語ってみたいと思います。これから海外移住を考えている方にも、何かヒントや勇気になれば嬉しいです。

タイ移住のきっかけは「タイ語」だった

当初の私は、「海外に住んでみたい」「できれば東南アジアがいいな」――そんな漠然とした想いを抱えていました。経済的にも現実的にも、ヨーロッパやアメリカは難しい。でも、アジアなら生活コストも抑えられ、文化的にも親しみやすそうだと感じていたのです。

なかでも、ふとしたきっかけで耳にした「タイ語」の響きに心を奪われたことが、今振り返るとターニングポイントでした。タイ語学校に通い始め、文字や発音の不思議さに魅了されていくうちに、もっと現地で学びたい、暮らしてみたいという気持ちが芽生えていきました。

はじめは3か月の滞在のつもりだったものが、半年になり、1年になり……気づけばタイでの生活が日常になっていたのです。

タイを選んでよかったと感じた3つの理由

1. 人々の寛容さと温かさ

タイには、「マイペンライ(大丈夫、気にしない)」という言葉があります。これは単なる言葉ではなく、人々の根底に流れる価値観でもあります。

初めてタイで道に迷ったとき、片言のタイ語でも一生懸命助けてくれたタクシー運転手。仕事でミスしても笑って励ましてくれた現地スタッフ。そうした一つひとつの経験が、異国に暮らす不安を少しずつ溶かしてくれました。

この「受け入れてくれる文化」は、移住者にとって本当にありがたく、心の支えになります。

2. 生活コストの手頃さとバランスの良さ

タイ、とくにバンコクは「発展途上国」や「物価が安い国」といったイメージだけでは語れない魅力があります。先進国並みのインフラや医療施設が整いながらも、生活コストは日本よりもずっと抑えられる。

屋台飯で200円のランチもあれば、最新のショッピングモールで欧米と変わらない買い物もできる。こうした「選べる生活」が、暮らしにゆとりと楽しさを与えてくれるのです。

家賃や公共料金も、日本の都市部に比べるとかなり手頃で、無理なく生活の質を維持できます。お金だけでは測れない「暮らしの豊かさ」が、ここには確かにあります。

3. 自由に自分らしくいられる

タイに暮らして感じるのは、「他人が自分の生き方にあまり干渉しない」という心地よさです。どんな格好でいても、何をしていても、「それがあなたのスタイルなんだね」と静かに受け入れてくれる空気があります。

これは日本ではなかなか味わえない「自由さ」かもしれません。誰かの目を気にせず、自分らしくいられる環境というのは、精神的にも大きな安心感になります。

20年住んでわかったこと

もちろん、楽しいことばかりではありませんでした。ビザ制度の変更や書類手続きの煩雑さ、文化的なすれ違いや日本との違いに戸惑うことも少なくありません。

しかし、そうした「壁」にぶつかるたびに、自分の視野が広がっていく感覚もありました。違いを学び、工夫し、時にはあきらめる――そうした積み重ねが、自分自身を少しずつ鍛えてくれたように思います。

今では、タイは私にとって「もうひとつの故郷」と呼べる場所になりました。

これから海外移住を考える人へ

移住先を選ぶとき、「ビザの条件は?」「生活費はいくら?」「治安は大丈夫?」――そんな情報を集めるのはもちろん大切です。でもそれ以上に、「その国が自分に合っているか」「ここで長く暮らせそうか」といった直感や感覚も、とても大事です。

どんなに条件が良くても、心が落ち着かない場所では長くは暮らせません。逆に、ちょっと不便でも「心地いい」と思える場所なら、意外と長く続くものです。

私の場合、それがタイでした。誰にでも当てはまる話ではないかもしれません。でも、こういう生き方もあるんだという一例として、参考にしていただけたら嬉しいです。

おわりに

「なぜタイだったのか?」という問いに、私は今こう答えます。
「タイが私を受け入れてくれたから、そして私もタイを受け入れたから」。

これは一方通行ではなく、時間をかけて育まれてきた相互の関係です。

このブログでは、今後もリアルな移住生活、現地での暮らしぶり、そして小さな幸せの瞬間を、実体験ベースで発信していきます。タイ移住を検討中の方、あるいはただ興味があるという方にも、少しでも役立てば幸いです。