2025.10.16
ライフスタイル

働く=生きる?タイ流ワークライフバランスの魅力

働く=生きる?タイ流ワークライフバランスの魅力

タイで暮らし始めて最初に驚いたのは、「仕事」と「生活」の距離感でした。
日本では、仕事が生活の中心にあり、忙しさこそが頑張りの証のように感じていた私。

けれど、タイに来て20年――。
この国の人たちは、

「働く=生きるため」ではなく、「生きる中の一部として働く」
という感覚で日々を過ごしています。

そんなタイの働き方に、私は次第に心地よさを感じるようになりました。

1. 「遅れても、笑顔で」──タイの時間感覚

タイでは、会議が予定通り始まらないこともしばしば。
15分遅れても誰も慌てません。
むしろ「渋滞してた?マイペンライ(大丈夫だよ)」と笑顔で迎えてくれるのです。

最初の頃は、この“ゆるさ”に戸惑いました。
日本の感覚では「時間=信頼」ですから。
でも、タイの人たちにとって大事なのは、
「その場の空気」と「人間関係」

遅れることよりも、相手を責めず、穏やかな気持ちを保つことが優先されます。

そして、いざ仕事が始まると、みんな集中し、一気に仕上げてしまう。
この**“緩急のつけ方”**が本当に上手い。
効率一辺倒ではなく、

「人と調和しながら結果を出す」文化
がここにはあります。

2. 職場に流れる「笑い」と「思いやり」

タイのオフィスでは、笑い声が絶えません。
上司も部下もフランクで、冗談を言い合う空気があります。
時には仕事の話をしている途中で、急にお菓子タイムが始まることも(笑)。

日本では“職場=緊張感”というイメージがありますが、
タイでは“職場=人とのつながりの場”。

もちろん、すべてが理想的というわけではありません。
曖昧な指示や、はっきりしない返事に悩むこともあります。
でも、その根底にあるのは、

「相手を傷つけないようにする思いやり」

だからこそ、人間関係のストレスが少なく、気持ちよく働けるんです。

3. 「働きすぎない」という強さ

タイの人たちは、**“頑張りすぎない勇気”**を持っています。
雨が強ければ「今日はやめよう」、家族が体調を崩したら「休むのが当たり前」。
日本のように「迷惑をかけるから我慢して出勤する」という発想はありません。

休日は、家族や友人と過ごす時間を何より大切にします。
市場で買い物したり、カフェで長話したり、寺院にお参りしたり――。
そこに流れる穏やかな時間が、心を整えてくれるのです。

「働く」よりも「生きる」を優先できる社会。
それが、タイという国の強さだと私は思います。

4. 外国人が馴染むためのコツ

タイの職場では、

“効率”よりも“気持ち”
が通じる人が信頼されます。

完璧さよりも、相手を笑顔にできる人がチームの中心になります。

私も以前は、日本流のペースを押しつけて失敗したことがあります。
「早くやらないと!」と焦るほど、周りの空気が重くなってしまう。
でも、少し立ち止まって「コーヒーでもどう?」と声をかけると、
不思議とチーム全体がスムーズに動き出すんです。

タイでは、

“時間を使うこと=信頼を築くこと”

それを理解してから、仕事も人間関係も一気にうまくいくようになりました。

まとめ:ゆるさは「優しさ」

タイの働き方を見ていると、
「効率」と「心の余裕」は両立できるのだと感じます。
完璧を求めないからこそ、人に優しくなれる。
急がないからこそ、自分の時間を大切にできる。

仕事に追われる毎日から少し離れて、
人との関係や、自分らしい生き方を見つめ直したい人には、
タイはまさに理想的な場所です。

20年ここに住んで思うのは――
「タイは、頑張りすぎた心をやさしく包み直してくれる国」。

一度このゆるやかなリズムに触れると、
もう日本の“忙しさ”には戻れなくなります。