タイで見つけた幸せのかたち──20年暮らしてわかった“頑張らなくていい”生き方
はじめに
日本にいた頃は、毎日が時間との戦いでした。電車の発車時刻、締め切り、約束の時間──。分刻みのスケジュールをこなすことが「頑張っている証」だと思っていました。
でも、タイに移住して20年。気づけば、「頑張らなくてもいい」と思えるようになっていました。
今日は、そんな私がタイで感じた“幸せのかたち”についてお話ししたいと思います。
サバーイサバーイ──幸せは「今ここ」にある
タイで暮らしていると、よく耳にする言葉があります。
それが 「サバーイサバーイ(สบาย ๆ)」。直訳すると「気楽に」「心地よく」という意味です。
雨が降れば「今日は休もうか」。渋滞に巻き込まれても「まあ仕方ないね」。
誰も焦らず、誰も怒らない。そんな日常の中に、静かな幸せが流れています。
日本では“頑張ること”が美徳とされますが、タイでは“力を抜くこと”が尊ばれます。
この「余白のある生き方」が、いつの間にか私の心を軽くしてくれました。
心の余白がある暮らし
タイの人たちは「うまくいかない日」さえも楽しみます。
マーケットで店主がのんびりおしゃべり、銀行の窓口でも笑顔で雑談。
最初は「時間の無駄では?」と思っていた私も、今ではその“ゆるさ”が心地よく感じられます。
人とのつながりや笑顔が日常に溶け込んでいて、せかせかした空気がありません。
「効率」よりも「気分」。
それが、タイの幸福の本質なのかもしれません。
頑張らないことの強さ
タイの人たちは、**“頑張りすぎない勇気”**を持っています。
雨が強ければ無理に出かけない、家族が体調を崩せば仕事を後回しにする。
そんな姿勢は、決して怠けているわけではなく、「人生で大切なものを知っている」ということ。
「今できることをやる。でも、無理はしない。」
そのシンプルな考え方が、私の中にも少しずつ根づきました。
日本人が学べること
日本の真面目さ、責任感は素晴らしい。
でも時に、それが自分を追い詰めてしまうこともあります。
タイに来て感じたのは、「がんばる」よりも「楽しむ」ことの大切さ。
タイの人たちは、“生きるために働く”のではなく、“生きる中に働く”という感覚を持っています。
このバランス感覚こそ、心の豊かさを生む源だと感じます。
まとめ:幸せは“力を抜いた先”にある
タイに来て20年。
今では、「今日も穏やかに過ごせた」ことが一番の幸せになりました。
忙しさの中で見失いがちな“心の余白”。
それを教えてくれたのが、タイという国でした。
幸せは、スピードを落としたときに見えてくる。
頑張らないことも、立派な生き方のひとつです。
